エンジンから白煙が...★ワゴンR★オイル下がり車上修理!
*注意*
この作業は実施可能な車種が限定されます。
普通車はバルブスプリングが硬いため
工具が適応しない場合があります。
Kカーでもツインカムヘッドの場合は
適応しないかもしれません。
また長期間乗る場合の修理には向いておりません。
オイルが燃えているということは、
燃焼室やバルブ廻り・ポートに
大量のカーボンが堆積しています。
この修理ではそのカーボンは除去できませんので、
将来的にバルブへの噛み込みなどの
トラブルの原因になる可能性があります。
とりあえず車検が切れるまでレベルの
短期間使用の場合にのみご検討ください。
クルマが古くなってくるといろんなトラブルが発生します。
まあ、クルマは消耗部品のカタマリですので、避けては通れないんですが。
そのために日頃のメンテナンスが重要になってくるんですよね。
細かいメンテの積み重ねで大きなトラブルを回避できることもありますんで。
それでも経年劣化によるトラブルは必ず出てくるんですよね。
今回もそういった種類の修理です。
マフラーから白煙が出る!
これはエンジンオイルが燃焼室に入り込んで起こる症状なんです。
ガソリンが燃えているだけの時には白煙は出ないのですが、
これにオイルが混ざって燃えると白煙が出るようになっちゃうんですよね~。
まともな状態のエンジンでは燃えて白煙が出るほどのオイルは燃焼室には入りません。
普通はシリンダー壁に付着したオイルはピストンリングで掻き落とされますので、
オイルが残ったとしてもごく微量のため白煙までにはならないんです。
ところがピストンリングがヘタってきたり、シリンダーが摩耗してくると、
オイルを掻き落としきれなくなって燃焼室にオイルが残ってしまうようになっちゃうんです。
この症状を オイル上がり と言います。
こうなるともうエンジンをオーバーホールするしか打つ手はありません。
症状によってはシリンダーのボーリングやピストン交換が必要になったり、
最悪シリンダーブロックの交換なんて大掛かりなことにも・・・
定期的なオイル交換をしていれば10万km程度の距離ではこの症状は起きないんですよね。
オイル交換をサボってたり、品質の悪いオイルを使ったりすると症状が早くでちゃうんです。
これはシリンダーの潤滑が悪くなって摩耗が進むからなんですよね。
マフラーから白煙が出る原因はもう一つあるんです。
今度は オイル下がり!
さきほどのオイル上がりとは反対にヘッド側からオイルが燃焼室に侵入するんです。
通常はヘッド側から燃焼室に向かっては一滴のオイルも入るようにはなっていないんです。
それなのに何故オイルが侵入するようになっちゃうんでしょうか?
その大きな原因が・・・
バルブステムシール!
本来はオイルが燃焼室に侵入しないようにブロックしている部品なんですが、
ゴムが硬化したり摩耗したりしてオイルの浸入を防ぎきれなくなっちゃうんですよね。
図解にするとこんなカンジです。
バルブの棒状の部分をバルブステムと言うんですが、
通常はここにステムシールのリップ部が密着してオイルの侵入をブロックしています。
リップ部を押さえつけるために外周にスプリングも付いています。
ところが経年変化やオイルの劣化などの影響でここのゴムが硬化したり、
接触面が摩耗したりして密着度が悪くなってしまうんです。
そうなるとステムとシールに隙間が出来てしまい、そこからオイルが侵入しちゃうんです。
オイルはバルブを伝って燃焼室に滴れて燃えることになります。
(赤いラインがオイルの侵入経路です。)
ちなみに黄色いラインがオイル上がりの侵入経路になります。
エンジンを止めていたり、アイドリング状態の時は滴れたオイルが溜まりやすいので、
掛けた直後とか信号待ちからの発進の時に白煙が良く出るんです。
走行中は溜りにくいので、あまり白煙は出ないんですよね。
反対にオイル上がりの場合には走行中に白煙がでちゃうんです。
シリンダー壁に付着したオイルはエンジン止めていても燃焼室に溜まることは無いですからね。
この症状の違いでオイル上がりか、オイル下がりかを判断することが出来るんです。
この写真は以前にオーバーホールをした別のエンジンです。
左側のポートの真ん中にあるステムガイドにオイルが溜まっていますね。
ここに付いていたバルブもオイルで濡れています。
このオイルが燃焼室で燃えて白煙になるんですよね。
さてそれでは本題のワゴンRに!
まず、タペットカバーを開けてみると・・・
ウギャ~~~!
オイルのスラッジ等でまっ黒けです!!
う~ん、白煙が出るのも仕方ないかと思っちゃいました。(笑
現在のオーナーさんはけっこうマメにオイル交換はしていましたので、
前オーナーさんのメンテが足らなかったのかもしれません。
中古車購入の時には気を付けたいポイントではあるんですけれど、
なかなか一般の方ではここまではチェックできませんもんね~。
タイミングベルトを取り外して、カムやロッカーアームも外します。
通常であればこの後ヘッドボルトを緩めてシリンダーヘッドを外すんですが・・・
今回はヘッドを載っけたままで修理をやっちゃいます。
ヘッドを降ろすとなるとガスケット等の部品も必要になってきますし、
洗浄やらバルブのすり合わせやらの作業もしますんで金額が膨らんじゃいます。
いわゆるオーバーホールになりますからね。
クルマの年式が年式なもんで、いつまで乗るかもわからないんです。
そんなクルマに大金かけてオーバーホールするのはもったいない。
今回は白煙が止まればOKってことなんで、ヘッドを載せたまま安価で出来る修理方法をチョイス!
作業時間も全然違いますから工賃もリーズナブルですからね!!(笑
ただし、この作業をやるには特殊な工具が必要なんです。
オーバーホールの時とは違う車上修理の専用品になります。
まずはコレ!
市販の専用工具も売られていますが、ウチでは使用済みプラグを改造して使ってます。
最近のようにネットでいろんな工具が検索できる時代なら良いんですが、
ウチではネットの無い時代からこの方法の修理をやってましたんで、
その当時は自分で作るしか無かったんですよね~。
なにしろ最初にやったのが日産のL20でしたから・・・(笑
その流れで違うサイズのプラグでも作っちゃいました。
まあ、工具が市販されていることを知ったのも最近だったんですけどね。
で、この工具をどう使うのかと言いますと・・・
またまた図解です。
じつはこのプラグ部分は内部を取り去って穴開き状態になっているんです。
それにホースを繋いでエアーチャックを付けてます。
この工具をプラグホールに取り付けて、コンプレッサーで圧縮したエアーを送ります。
圧縮エアーが入ることで燃焼室内が加圧された状態になるんです。
すると赤い矢印のような力がバルブに働きます。
この状態だとバルブスプリングを外してもバルブは落ちていかないんですよね。
と言うか、バルブが固定されていないとスプリングは縮めることすら出来ないんです。
そのためオーバーホール時に使う通常のスプリングコンプレッサーは
アームでバルブの傘部を押さえつけるような構造になってます。
このアームの働きを圧縮エアーが代わりにやってくれるっていう寸法なんですよね。
バルブスプリングを外した状態です。
緑の矢印部分が問題のステムシールになります。
プラグホールに入っていってる緑のホースでエアーを送ってます。
この状態では間違ってもバルブを押さえてはいけません。
ヘタするとバルブが開いてエアーが一気に抜けちゃう恐れがありますんで・・・
ステムシールのアップです。
スラッジが付いているんでリップ部の状態はよく判別できません。
まあ、この色を見ただけでも決して良い状態とは思えませんよね~。
新しいステムシールに交換した状態です。
当然ながら新品なんでスラッジとかも付いてなくてキレイです。
この後バルブスプリングを組み付けていくんですが、
その作業にも専用の工具が必要になります。
一番上に写ってる物がスプリングコンプレッサーです。
通常使っている一般的な物とはかなり形状が違っています。
下の2つはバルブクリアランスを調整するための工具ですので、
今回のような作業専用というわけではありません。
で、このコンプレッサーをどう使うのかと言いますと・・・
作業中の写真を撮って無かったので、またまた他のエンジンの写真ですが・・・
バルブスプリングをセットしてその上にスプリングリテーナーを載せます。
リテーナー中央のテーパー状の穴にコッタピンを入れます。
バルブステムとリテーナーの隙間に差し込むようなカンジですかね。
この状態で上からコンプレッサーをあてがって押すだけで、
あ~ら不思議! コッタピンがバルブステムの溝にちゃんとはまるんです。
ミニドライバーとか使ってチマチマやらなくってもOKなんですよね。
もちろんヘッドを外した状態の時にも使えますよ。
燃焼室にウエス等を詰めてバルブが動かないようにしてやればOKなんです。
ただ、このコンプレッサーには弱点がありまして・・・
バルブスプリングの硬いエンジンだと押さえるのにかなり力がいるんですよね~。
4A-Gの強化スプリングぐらいならOKなんですが、ロードスターの時には途中であきらめました。
ロードスターはオイルタペットになっているんでバルブリフターが重いんですよね。
そのためサージングしないようにスプリングが硬くなっているんです。
まあ、腕力しだいともいえますが、私はか弱いんで・・・(笑
カムやロッカーアーム等の取り外せる部品は洗浄しておきました。
本当はあのまっ黒けを見たもんでヘッドごと洗浄したい欲求にかられましたが・・・(笑
洗浄したパーツのおかげでだいぶ見た目がキレイになりましたね~。
ヘッド本体は汚れたままなんで気分の問題レベルですが・・・(笑
オイル下がりの症状を安く直したい時にはこの方法はオススメですよ。
部品代も工賃もオーバーホールに比べればかなり割安です。
いつまで乗るかはわからないってクルマにはネ。
今後も永く乗ろうって思ってる場合にはオーバーホールをオススメしますけどね。
ちなみにオイル上がりの場合にはこんなウラ技はありません。
しっかり働いてオーバーホールのお金を貯めてください!(笑
ついでにチューニングも!ってことも可能ですから、お気軽にお問い合せくださいね。
*注意*
この作業は実施可能な車種が限定されます。
普通車はバルブスプリングが硬いため
工具が適応しない場合があります。
Kカーでもツインカムヘッドの場合は
適応しないかもしれません。
また長期間乗る場合の修理には向いておりません。
オイルが燃えているということは、
燃焼室やバルブ廻り・ポートに
大量のカーボンが堆積しています。
この修理ではそのカーボンは除去できませんので、
将来的にバルブへの噛み込みなどの
トラブルの原因になる可能性があります。
とりあえず車検が切れるまでレベルの
短期間使用の場合にのみご検討ください。
岡山県倉敷市の「田舎のタイヤ屋さん」です。(笑
軽トラのタイヤ交換1本から、オイル交換・インチアップ・カーナビなどをはじめ
ドレスアップやローダウンもおまかせください。
ハードなチューニングやエンジン・MTなどのオーバーホールもやってます。
車検・一般整備・鈑金修理・中古車販売もお気軽にご相談ください。
当店は進化剤のマイスター店です。
超進化剤NT-1、塗る進化剤ミスリル、冷却系進化剤ZOMAも取扱っています。
http://www.auto-r.com/index.html
by AutoReference | 2013-09-07 15:43 | メンテナンス&修理 | Comments(4)
修理の仕方も分かりました。オイル下がりがあるかどうか分かりませんが、心配しています。オイル下がりがあったときに、訳に立てばと思います。ありがとうございます。
オイル消費は原因の判別が難しいので注意が必要ですね。
この修理方法は長期間使用するクルマにはやらないほうが良いと思います。
車検が切れるまでレベルのクルマならOKでしょうが・・・
長期間乗る場合には正規のオーバーホールを推称します。