シフトフィーリング改善!★NSX★ MTオーバーホール!!
待ち合いコーナーのモニターです。
アンテナは繋がっていないので地デジは見えないのですが・・・
PCからの映像を流してます。
NHKのオンラインで全試合の見逃し配信があるんですよね。
しかもこの配信は 無料! なんです。
やるな! NHK!!(笑
商談カウンター脇のモニターにも!
セネガル戦での乾選手のゴールシーンもバッチリ!!
日本の試合だけでなく全試合が見られるっていうのもポイントですね。
ただし実況は日本語ではありません・・・
NHKなのに・・・?
さて本日は久々のNSXネタです。
リジカラのネタが溜まり気味って言いながら、
何気にNSXのネタもけっこう溜まっちゃってるんですよね~。
わりと大掛かりな作業が多いもんで、ついつい更新が後回しに・・・(笑
ってことで本日のネタもけっこう前にやった作業なんですよね。
NSXのシフトの入りが悪いんでオーバーホールしてほしいとの依頼がありました。
MTはオーナーさんが自ら降ろして持ってくるとのこと。
以前に「猛牛さんご来店」のブログでご紹介した、
ムルシエラゴのホイールを塗った塗装職人さんなんです。
つまり板金屋さんなわけです。
事故の修理でフレーム修整とかする際には、
エンジンやMTを降ろす必要もあるので、日頃から手馴れているんですよね。
ところがオーバーホールとなると専門外。
以前乗っていたクルマで自分でオーバーホールしたら、
全てのギアでやる前より入りが悪くなったんだとか・・・(笑
そこで餅は餅屋へとなったわけです。
塗装職人さんとは以前からお付き合いがありました。
ウチの走行会にもよく参加してくれていました。
FD3Sでトップタイムを出したり・・・
http://www.auto-r.com/top/events/2008-06/2008-06.html
朝一の完熟走行でFD3Sがタービンブローしちゃって、
荷物運びに乗ってきていた軽トラで出走したことも・・・(笑
http://www.auto-r.com/top/events/2009-04/2009-04.html
その後FD3SからNSXに乗りかえたそうなんです。
降ろしたMTが到着!
まずは状態の聞き取りをしたところ・・・
「どのギアも入りが渋いな~。」とのことでした。
このクルマの前オーナーさんもウチの走行会に参加してくれていたので、
けっこうハードな使われ方はしていますね。
さてさてどんな状態なんでしょうか?
まずはケースを開けて・・・
各シャフトなどを取り外していきます。
インプットシャフトからギアやベアリング等を外してバラバラに。
最初に各パーツのチェックに取り掛かります。
ベアリングやシンクロリングは全数交換する予定なんですが、
その他のパーツもチェックポイントがあるんですよね。
ハブスリーブはかなりヒドイ状態です。
この部品はシフトチェンジをするのに重要な役目を担っているんです。
っていうかこの部品が無いとシフトチェンジは出来ません。(笑
基本的には内外2個の円形パーツで構成されています。
内側の円形パーツ(青く色付けしてある部分)の内周にはスプラインが切ってあり、
ここがシャフトに勘合しますので、このパーツは動きません。
で、外周部には凹凸の溝というかギアというか刃というかが切られており、
外側パーツの内周部もこれに合わせた形状になっています。
この外側パーツがスライドすることでシフトチェンジするわけなんです。
ニュートラル時にはフリーで回っている1速とか2速とかの各ギアには、
外側パーツの刃と勘合する刃があります。
これが噛み合うことで各ギアがシャフトに同調して回るようになります。
ところがシフトチェンジする時っていうのは次のギアと、
シャフトの回転数には差があるんです。
回転差がある物を勘合させようとするので磨耗が起きちゃうんですよね。
なのでこの刃の先端 (矢印部) が磨耗していると勘合し難くなり、
シフトが渋くなったり、シフト抜けの原因になっちゃうんですよね~。
ここまでなっていると新品交換ですね!
新品との比較です!
キレイにエッジが立った三角形になってる新品に比べて、
磨耗でエッジが無い状態になっちゃってますね。
ギア側の刃もご覧の状態で・・・
緑矢印部 が先ほどのハブスリーブの刃が噛み合う部分なんですよね。
どちらも同じような状態になってます。
もちろん新品に交換します。
黄矢印部 はテーパー形状になってます。
何でそうなっているのかは、また後ほど・・・
やはり新品はエッジが立ったキレイな三角形です!
そしてシフトチェンジの時に重要になるもう1つのパーツが・・・
シンクロリングなんです。
MTオーバーホールでは消耗部品扱いですね。(笑
こちらにも外周部に各ギアと同じような刃が付いています。
そして内周部はテーパー状になっており、円周方向に溝が切られています。 (矢印部)
ハブスリーブの外側パーツがスライドし始めると、
シンクロリングのテーパー部がギア側に押し付けられます。
先ほどご紹介したギア側のテーパー状部分ですね。
シンクロリングはハブスリーブにハメ込まれているので、
これが押し付けられることで回転数を同調させようとするわけです。
言わばギアのブレーキのような物ですね。
ハブスリーブにハメ込まれていますから回転差はありません。
そのためギアのように外周部の刃が傷むことは無いのですが・・・
代わりに内周部がブレーキの役割りをしているので磨耗しちゃうんです。
ここが磨耗すると押さえつける力が弱くなり、回転数を同調させにくくなります。
で、シフトが入りにくくなるってわけです。
ギアは鉄製ですので焼き付きなどが起きないように、
シンクロリングは真鍮などの柔らかめの金属で作られています。
まあ、ブレーキローターとパットのような関係ですかね。
パットが柔らかい材質なのでよく磨耗するのと同様ってことです。
なのでオーバーホール時には交換となるわけです。
NSXでは2速のシンクロリングが異なる構造になってます。
写真で見ても1速用とは違いますよね。
2速以外のシンクロリングは1速用と同じ構造です。
(各ギアによってサイズは異なりますが・・・)
他のシンクロリングと違い3個のパーツで構成されています。
外側のシンクロリングは他と同じように内周部に溝が切られています。
内側のシンクロリングは反対に外周部に溝が切られています。
外側リングの内側に飛び出ている3ヶ所の出っ張りに、
内側リングがハマるので一緒に回転しています。
この2つのシンクロリングの間に鉄製のテーパーリングが挟み込まれます。
テーパーリングにも3つの出っ張りがあって、これが2速ギアにハマってます。
つまり他のギアのテーパー部の代わりってわけですね。
これを内外から押さえつけることで、
より強力なブレーキング現象を生み出しているってことになります。
このタイプは一般的に ダブルコーンシンクロ って呼ばれています。
他の車種を含めても2速はシフトが入りにくくなりやすいので、
対策としてこのちょっと凝った構造になっているんです。
もちろんこれもセットで交換します。
クリアランスを測定しながらギアやハブスリーブ・ベアリングを組み付けます。
この測定も手を抜いてはいけない大事な工程なんですよ。
インプットシャフトの組み付け完了!
下に写っているのが交換したパーツなんですが、
シャフト本体以外全てって具合ですかね?(笑
NSXではインプットシャフト側で3速・4速・5速のシフトに関連します。
そこのパーツを全部換えたことになりますね。
1速・2速のシフトはカウンターシャフト側で行います。
リバースは別の機構がシフトを担ってます。
続いてはカウンターシャフトです!
こちらもバラバラにしてまずは状態のチェックです。
やはりハブスリーブの刃が・・・
先ほどよりは少しはマシな状態ですかね?
少しだけですが先端のほうにエッジが残ってますね。
もちろん新品のキレイなエッジとは比べもんにはなりませんが・・・
当然ながらギアのほうも・・・
これは2速ギアになります。
写真に丸い穴が写っていますが、
この穴に先ほどのシンクロテーパーリングの出っ張りがハマリます。
なのでこのギアはテーパー状になっていませんね。
こちらもちょっとだけエッジが残ってますね。
やはりクリアランスを測定しながら組み付けます。
以前オーバーホールしたMTで、ここでドツボにハマったことが・・・(笑
シムを換えながら何度測定しても基準値に収まらないんです。
一番ブ厚いシムを使ってもダメ!
何じゃそりゃ?? と思いながら迷宮に迷い込みそうに・・・(笑
原因はハブスリーブの段付き磨耗でした。
キレイに段が出来ていたので、そういう形状なんだと思って、
最初のチェックで見逃していたんですよね。
この磨耗を発見してハブスリーブを交換して無事OKに。
今回はハブスリーブは新品ですので問題ありませんでした。
カウンターシャフトも組み付け完了!
ベアリングは全数交換しています。
ギアの内側に入るニードルベアリングもね。
1速・2速ギアとハブスリーブ・シンクロリングも交換しました。
シフトに関連するパーツ全てですね。
3速・4速・5速ギアとリバースギアはシフトに関係しないんで再使用です。
リバースのアイドラギア機構もベアリング全数とシンクロを交換。
この機構がリバースのシフトに関連しているんですが、
さすがにハブスリーブもギアも刃は大丈夫でした。
まあ、リバースは止まってる時にしかシフトしませんからね。
ただ、インプットシャフトの5速用ハブスリーブがリバースのシフトにも絡んでいるので、
磨耗でバリが出たりするとリバースに入らなくなる場合があります。
要はバリが引っ掛かって5速の反対側にスライドしなくなるんですよね。
NSXではありませんが、他のホンダ車で経験したことがあります。
今回は5速のハブスリーブも新品ですので問題ありませんけどね。
デフのサイドベアリングも新品に交換します。
サイドベアリングを交換したら、デフをケースにハメ込んで・・・
ケースは内部も洗浄してあるのでキレイな状態です。
プリロードの測定!
基準値に収まるように調整するんですが、これがけっこう手間が掛かるんですよね。
矢印部 のシムの厚みを換えて調整するんですが・・・
一発で決まることはまずありません。
測定したら再度ケースを開けて、アウターレースとシムを外し、
厚みの異なるシムを組み込みアウターレースをセットしてケースを組み付け。
で、またまたプリロードを測定して・・・
という作業を何度か繰り返して調整します。
続いてはインプットシャフトをケースに組み込んで、
スラストクリアランスの測定をします。
簡単に言えば軸方向のガタですね。
こちらもシムの厚みを換えて調整するんですが・・・
プリロードの調整よりは簡単ですね。
基準値と測定値の差の分だけシムの厚みを変えればいいわけですから、
だいたい2回ぐらいで調整はOKとなりますね。
まあそれでもケースを開けたり組んだりの作業が必要ですが。
各部の調整が終ったらシャフトをケースに組込みます。
シフトフォーク等も組み付け、MT内部は完了です。
最後にケースをハメるんですが・・・
これってちょっとしたコツがいるんですよね。
頻繁にやってたころはわりとすんなり組めていたんですが、
久々にやるとけっこう苦労しちゃったりします。
焦ると余計にハマらなくなるんですよね~。(笑
NSXのMTオーバーホールでけっこう重要なパーツがコレ!
カウンターシャフトの位置決めをしているスナップリングです。
このスナップリングが折れるってトラブルがけっこうあるらしい・・・
スナップリングが折れるとカウンターシャフトが軸方向に動いちゃうんです。
ウチでは今までこのトラブルの経験はありませんが、
オーバーホールの時には必ず新品に交換するようにしています。
安価な部品をケチってのトラブルじゃシャレになりませんから!
オイルシールも交換して完成です!
あとは塗装職人さんが車輌に載せて終了となります。
NSXは生産されてからの年数が年数になってきましたので、
トラブル回避のためにもメンテナンスが重要なんです。
日頃のちょっとしたメンテナンスから、
エンジンやMTなどのオーバーホールもお気軽にご相談ください。
岡山県倉敷市の「田舎のタイヤ屋さん」です。(笑
軽トラのタイヤ交換1本から、オイル交換・インチアップ・カーナビなどをはじめ
ドレスアップやローダウンもおまかせください。
ハードなチューニングやエンジン・MTなどのオーバーホールもやってます。
車検・一般整備・鈑金修理・中古車販売もお気軽にご相談ください。
当店は進化剤のマイスター店です。
超進化剤NT-1、塗る進化剤ミスリル、冷却系進化剤ZOMAも取扱っています。
http://www.auto-r.com/index.html
by AutoReference | 2018-06-28 16:06 | NSX | Comments(0)